国民的あんこ菓子「饅頭」のルーツ

日本の代表的なお菓子というと連想するのが、あんこを使ったお菓子だ。

あんこといえば、中国から伝来した甘くない餡をもとに、徐々に甘い餡という形で改良されていった。

平安時代、甘葛(あまづら)を使って小豆を甘くし、のちの室町時代になると砂糖が伝来したことにより砂糖の甘味でできたあんこの原型が出来上がっていった。

中でも代表的で庶民的なあんこ菓子が、饅頭なのではないだろうか。

 

■国民的あんこ菓子「饅頭」のルーツは2つ

日本各地の名所や観光地、お土産屋には、必ずといって良い程ご当地の饅頭が並んでいる。

饅頭はそれほどまでに庶民に愛されてきたあんこ菓子ですが、そのルーツは、実は2つあることを知っているだろうか?

南北朝時代の1349年、中国から日本にやってきた林浄因(りんじょういん)は、奈良で肉食が許されない僧侶のために、肉の代わりに、小豆を煮詰め、甘葛(あまづら)の甘味と塩味を加えて、餡を作り、饅頭の皮に包んで蒸し上げたと伝えられている。

 

一方、さらに時をさかのぼること鎌倉時代は1241年。

宋留学から帰国した聖一国師(しょういちこくし)が、博多で布教の途中に立ち寄った茶屋の主人・栗波吉右衛門に、酒母を使った饅頭の製法を伝えたと言われており、これが酒饅頭の始まりとされている。

 

■「まんじゅう」の歴史

まんじゅうの歴史は、2つの系統があるといわれてる。

ひとつは先に記した鎌倉時代に1241年、聖一国師(博多祇園山笠のルーツにもなった僧)が宋から帰朝し、博多の承天寺に住んでいたとき、近くの茶店の栗波吉衛門に宋で習い覚えたまんじゅうの製法を伝授し、虎屋饅頭として広まったもの。

もうひとつは1341年、林浄因という中国人が奈良の二条に住み、まんじゅう製造業を始め、林氏を改め塩瀬氏と称し、塩瀬饅頭として広まった系統だ。(塩瀬氏かその子孫が肉類の「あん」を豆類の「あん」に代用したと推察されている。)

 

■饅頭(まんじゅう)の語源・由来

饅頭とは、小麦粉やそば粉などを練った生地で餡に包み、焼いたり蒸したりしてできたお菓子のことをいう。

漢字の「饅頭」は、漢語の「饅頭(まんとう)」からくる借用語で「頭」を「じゅう」という唐音読みをして「まんじゅう」となったという。

 

因みに唐音読みとは聞き覚えの少ない言葉だが、漢字の音読みの中でも呉音・漢音・唐音などがあるらしい。

これらの区分けをするには、現代中国語音や音読みの旧仮名遣いなどがわからないと理解しにくいようだが、「誰でもわかる法則」として、次の、ものを参考にすると良い。

1) ナ行で始まる音読みとザ行で始まる音読みの2つがある場合、ナ行の方が呉音、ザ行の方が漢音である。例:日=ニチ・ジツ、然=ネン・ゼン、若=ニャク・ジャク
2) ナ行で始まる音読みとダ行で始まる音読みの2つがある場合、ナ行の方が呉音、ダ行の方が漢音である。例:男=ナン・ダン、女=ニョ・ジョ、怒=ヌ・ド
3 )マ行で始まる音読みとバ行で始まる音読みの2つがある場合、マ行の方が呉音、バ行の方が漢音である。例:米=マイ・バイ、万=マン・バン、美=ミ・ビ
4 )同じ行の濁音(ガ行・ザ行・ダ行・バ行)で始まる音読みと清音(カ行・サ行・タ行・ハ行)で始まる音読みの2つがある場合、濁音の方が呉音、清音の方が漢音である。例:極=ゴク・キョク、成=ジョウ・セイ、白=ビャク・ハク
5 )チで終わる音読みとツで終わる音読みの2つがある場合、チの方が呉音、ツの方が漢音である。例:一=イチ・イツ、八=ハチ・ハツ、質=シチ・シツ

 

話を饅頭に戻すと・・・

饅頭の起源は中国にあり、諸葛孔明(しょかつこうめい)が南征した際、川の神に人身御供として人の頭を捧げれば災いが鎮まるという風習を改めるため、羊や豚の肉を小麦粉で作った皮でくるんだものを人頭に見立て、神に捧げたことに由来するといわれる。

当初は、蛮人の頭の意味から「蛮頭(まんとう)」が用いられていたが、祭壇に供えた後、それを食べるようになったことから、「饅」の字が当てられ「饅頭」になった。

中国では饅頭が主食とされ、なかに肉や野菜を入れるのが普通で、甘い餡を入れるのは点心のときだけである。

日本のまんじゅうは、前述した1349年に宋から渡来した林浄因(りんじょういん)が奈良で作った「奈良饅頭」が始まりといわれる。

仏教では肉食が禁じられ、餡を用いたことから、日本では餡が入ったものを指すようになったという。

しかし室町時代には「菜饅頭(さいまんじゅう)」もあり、主食として粉食が好まれなかったため、菓子として食べる甘いまんじゅうが残っていったといわれる。

食文化の発展も歴史に準えていくと大変興味深いものだ。

 

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